おすすめの本

幽世<かくりよ>の住人

  • 掲載日:2021年10月15日
日本では神様が出雲に集まり、海外では死者が現世にやってくる。「あちら側」と近くなるこの季節にぴったりな本をご紹介します。
魔女の12ヵ月

 

飯島都陽子/著・絵
山と溪谷社

 
 神秘的なイメージが強い魔女ですが、この本では日々の暮らしや季節に応じた祭事、旬の植物を用いたレシピなど、神話や由来を解説しつつ、身近な存在として紹介しています。自然とともに生き、その知識や効能を身に着け生活していた魔女は、薬草学に長けた現代の薬剤師のように思えます。
 ハーブを使って料理をする時には、魔女になった気分で台所に立ってみるのも楽しいかもしれません。
アラマタヒロシの妖怪にされちゃったモノ事典
 

荒俣宏/著
秀和システム

 
 鬼や河童、人魚、ツチノコ、そして現代のグレムリンまで、古今東西のあらゆる妖怪を網羅した著者の妖怪研究の集大成です。
 怪しく不気味な姿で、時に人間を恐怖に陥れる妖怪たちですが、実は人間よりも臆病だったり色好みだったり、個性的で憎めない一面も持ち合わせています。そんな人間臭さを感じるキャラクター性が、古くから現代まで人々に愛され続ける理由なのかもしれないと思わせられる一冊です。
魔女・怪物・天変地異 
近代的精神はどこから生まれたか

 

黒川正剛/著
筑摩書房
 
 この本では、自然現象・怪異・魔女・・・人々を驚かせ、怖れさせる様々な「驚異」を「好奇心」という観点からひも解いています。
❝好奇心❞という自分たちの中にあるものを通すことで、遠い時代の出来事やめったに遭遇しない不可思議な出来事も、ぐっと身近に感じられます。
 未来の「驚異」に対して私たちがどう対していくのかも考えさせられる一冊です。