おすすめの本

作家と食べ物

  • 掲載日:2021年5月23日

食べ物は美味しいだけでなく、そこには様々な物語があり思い出が蘇る事もあります。今回は食べ物にまつわるエッセイを紹介します。

精選女性随筆集 第五巻 武田百合子

武田百合子 著
川上弘美 選
文藝春秋

 夫である小説家の武田泰淳と過ごした富士山麓での生活を記した『富士日記』や、「草月」に連載をされていたものをまとめた『ことばの食卓』などが収録されています。
 著者独特の瑞々しく豊かな感性と細やかな観察力で、食べ物と思い出が綴られた作品です。
 
旅ごはん

小川糸著
白泉社

 アーティチョークのオムレツ、トマトソースのシンプルなパスタ、チロル地方の素朴なレストランなど目次には魅力的な見出しが並んでいます。
 ピンク色の冷たいスープや週末だけやっている田舎のカフェなどの、目にも美味しく心温まる写真が載っていて、食事の時間が愛おしく感じられるようなエッセイです。

 
やわらかなレタス

江國香織 著
文藝春秋

 本作は1987年に『草之丞』で童話作家としてデビューした江國香織のエッセイ集です。小説や旅、食べ物について優しい筆致で綴られています。特に食べ物の描写がシンプルながらも大変魅力的で、読者の食欲を誘います。
 『ムーミン谷の冬』(トーベ・ヤンソン著)など彼女が影響を受けた本についても触れられているので、併せて読むのもお勧めです。