小嶋陽太郎／作　

ポプラ社

　夜明第三中2年の主人公、松林竹人は塾の帰りに高校生グループ夜明スコーピオンに襲われて財布を盗られてしまう。その時に助けてくれたクラスメイトのクラゲこと伊倉源十郎と夜明スコーピオンを倒すべく計画を立てる。チーム名は朝ガエルズ。まずは夜パトロールから始めて最後には痛快なる作戦を企てる。その作戦とは…。

　夜明けスコーピオンのリーダー藍原は市長の孫で、父親は検察官であるため、悪事が発覚する度に市長と父親の力でもみ消されてきました。どうみても勝ち目のない朝ガエルズが奮闘するなかで、本当に取り戻したかったものが見えてきます。

佐藤いつ子／著

KADOKAWA

　中学校に入学して初めての合唱コンクール。指揮を任された内気な早紀。クラスのリーダー的な役割を担うキンタ。本当にやりたいことが見つからない涼万。どれだけ練習しても、バスケの実力が情熱に伴わない岳。絶対音感を持つピアノの天才音心。初潮、オスグッド、恋心、無力感、達成感、ひとつとして同じではない５人の個性が課題曲のソノリティに乗せて共鳴する。

　何気ない一言で傷つけてしまった同級生の頬を伝う涙が、差し込む夕日にキラキラ光る様子に魅入られたり、汗のついたタオルをこっそり顔に当て「俺は変態か！」とつっこんでみたり、５人の複雑で多重な心情がこの一冊にぎゅーっと詰まっています。

名取佐和子／著

実業之日本社

　体育祭が土曜日に迫っている野亜高校の図書室での物語。月曜日、図書委員代理の花音が一冊の本を見つけたが、それは十年前に貸し出された本。中には「方舟はいらない　大きな腕白ども　土ダンをぶっつぶせ！」のメモ。十年前に何があったのか、花音が同級生や後輩、先生たちも巻き込んでいく青春ストーリー。

　謎や困難に対して懸命に取り組む登場人物全員の姿に引き込まれます。花音や十年前に高校生だった大人たちとの一週間を、そして野亜高体育祭を一緒に楽しんでみませんか。さらに図書室自慢の検索機「本ソムリエ」が選び出す本もおすすめです。図書室の場所も知らなかった花音でしたが、青春物語『火星の話』を読んだようです。