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2025年10月号 日本のトラディショナル特集

  • 掲載日:2025年10月20日

ぼくたちはまだ出逢っていない

八束澄子/著

ポプラ社

 イギリス人の父と日本人の母を持ち、同級生からのいじめに悩む中三の陸。母親の再婚相手の家に引っ越してきたものの、新しい環境になじめない中二の美雨。それぞれの事情を抱え、自分の居場所や悩みの解決法を見つけられず、もやもやした気持ちを感じています。そんな2人は、うるしとの出会いをきっかけに縁を結ぶことになります。そして陸の親友・樹にも……。

 「金継きんつぎ」という言葉を聞いたことがありますか。壊れた器を漆で時間をかけて接着し、金粉や銀粉などをまいて装飾する日本の伝統的修復法です。漆が結んだ縁に導かれ、壊れかけた勇気や優しさ、アイデンティティが時間をかけて丁寧に再生されていく、京都を舞台にした物語です。

きまぐれ未来寄席

江坂遊/著 はしゃ/絵

Gakken

 お客が望むものと取り換えてくれる商人が出てくる「とっかえべえ」、なぜか窓がついているお墓の話「開いた窓」など、タイトルからは内容もオチも想像がつかない短編が24編収録されています。寄席よせは落語、浄瑠璃じょうるり、講談、漫才、手品など色々な芸を見ることができる場所ですが、この本では落語あり、ファンタジーあり、恋愛あり、様々なジャンルの物語が、寄席のように楽しませてくれる一冊です。

 不思議な話が多いですが、どの話にも共通して「人情」が描かれており、読んだ後には不思議な中にも温かさを感じられます。意味が分かると怖い話もあるので、ゾクッとしたい人にもおすすめです。

マンガでわかる能・狂言-あらすじから見どころ、なぜか眠気を誘う理由まで全部わかる!- 

マンガでわかる能・狂言編集部/編 小田幸子/監修
スペースオフィス/マンガ

誠文堂新光社

 能・狂言って一度は舞台を観てみたいけど、なんだか難しそう…。そんな能・狂言にあこがれはあるけど、一歩がふみ出せない人におすすめの本です。「そもそも能・狂言って何?」といった疑問から、楽しみ方、はじめての人におすすめの短めの曲まで、わかりやすいイラストとともに解説されています。

 私も能・狂言は難しそうで敬遠していましたが、この本を読んで観に行ってみたくなりました。とくに興味を持ったのは、「作り物」という能の大道具です。「つち蜘蛛ぐも」という演目の蜘蛛の巣状に紙が張られた土蜘蛛の精の家や、「殺生石せっしょうせき」という演目の二つに割れて妖狐が出てくる石の作り物などが面白かったです。能・狂言の色々な魅力を知れるので、自分なりの楽しみ方を見つけてみるのもよいかもしれません。