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2026年4月号 のりもの特集

  • 掲載日:2026年4月15日

自転車に乗って

伊藤礼/[ほか]著

河出書房新社

 日常や旅先での出来事、子どもの頃の思い出など、自転車にまつわるエッセイ・小説・詩・漫画を集めた1冊。4人組バンド「SEKAI NO OWARI」の藤崎彩織が書いた『ビワイチ』は、サイクリングの達成感が楽しめる。爽快に走るバンドメンバー。その後ろからペダルを漕いで漕いで、漕ぎ続けた著者が、へとへとになりながらも感じたこととは…。私たちにとって身近な乗り物である自転車をテーマに、文豪から旬の作家まで27人の物語が楽しめる短編アンソロジー。

 目次に気になる作家名はありますか?「この人、誰だろう?」と目次を眺めたら、まずはパラパラとページをめくってみてください。気になったタイトルや作家、短いエッセイから読むのがオススメです。「夏目漱石や江戸川乱歩は、どんなふうに自転車に乗っていたのだろう」と想像力がかき立てられます。

ささやきの島

フランシス・ハーディング/著 エミリー・グラヴェット/絵 児玉敦子/訳

東京創元社

 マイロの父は、マーランク島で死者を船に乗せ、死の先の世界へ送り届ける渡し守をしている。住人は魂を送り出してもらうため、死者の靴を渡し守の所へもってくる。ある日領主の娘が亡くなると、領主は娘を生き返らせるために靴を奪い返そうとし、止めようとしたマイロの父は殺されてしまう。渡し守がいなければ、死者が島中をさまよい出すことに。父を助けられなかった後悔の中、マイロはかわりに船を出すことに成功するが…。

 「死者のことを考え過ぎてしまうお前は、渡し守にはなれない」と父から言われてきたマイロでしたが、船の中で人の死に向き合い、悩みながら成長していきます。渡し守とはどうあるべきなのか。怖がりのマイロが考え抜いて出した答えに心動かされます。物語の雰囲気に合った挿絵が満載で、読みやすい作品です。ぜひ読んでみてください。

かわいいわたしのFe

神戸遥真/作 はーみん/絵

文研出版

 幼い頃から周りにかわいいと褒められてきた菜摘(なつみ)。母はアイドルやモデルのオーディションをすすめてくるが、あまり受けたくないのにはっきり断れずにいる。自室の窓から見えるモノレールを眺めているうちに鉄道のことが大好きになったが、キャラじゃないと思って誰にも言えない。そんな時、同級生の羽ヶ崎くんに、こっそり撮りためていた鉄道写真を誤送信してしまう。自分の気持ちに素直に生きている羽ヶ崎くんと関わるうちに、菜摘の行動も少しずつ変化していく。

 好きなものを「好き」と言うこと。嫌なことを「嫌」と言うこと。どちらも簡単なようでいて、口に出すのが難しい場面もありますよね。4月は環境が変わることが多く、自分のキャラや立ち位置がいつもより気になってしまうことも。そんなもやもやを抱えた人の背中を、やさしく押してくれる1冊です。