ティーンズトップページ

2023年4月号 部活特集

カブキブ! 1

榎田ユウリ/著 

KADOKAWA/角川文庫

 「歌舞伎部を創りたい?」「はい」とにこやかに返事をしたのは高校生になったばかりの来栖黒悟(クロ)。幼い頃から祖父と見ていた歌舞伎が好きで、自分たちで歌舞伎を上演するためクラブを立ち上げたいと担任に持ち掛けるのですが…。親友トンボとともに孤軍奮闘の日々が幕を開けます。

 4月下旬の春真っ盛り。クロは歌舞伎部発足のため仲間探しを始めます。この物語を読んでいると「好き」って大事だと感じます。この想いが大きな力となり、周りを突き動かしていきます。❝歌舞伎❞というと固い印象があるかもしれませんが、この物語はそんな気持ちを覆します。演劇部のスターや梨園の息子⁉のバンドボーカルなどキャラクターも魅力的。皆さんの❝推し❞を見つけてみてはいかがでしょうか?-シリーズ7巻まで-


 

ギソク陸上部

山下白/原案 舟崎泉美/著

学研プラス(Gakken)

 ユーイング肉腫により片足を失ってしまった中学2年生・陸上部の颯斗。治療を終え、復学さえすれば元通りの日常に戻れると思っていましたが、現実は障害者として憐憫の眼を向けられる毎日でした。義足でも走ることができる。大好きだった走ることをあきらめないための挑戦が始まります。

 障害者に突然なってしまうリアルが描かれた小説です。気遣われる度に傷ついていく主人公。決して周りが悪いわけではないのが分かっているからこそ、苛立ってしまいます。簡単な文体からこわばってしまった主人公の心の様子や苛立ちが痛いほどに伝わってきます。ハンディキャップという題材に加え、スポーツ、恋愛という要素を含んだ、読んでいると何度も胸がギュッとなる作品です。


 

「ハッピーな部活」のつくり方

中澤篤史/著 内田良/著

岩波書店

 ❝部活❞と言えば、映画やドラマで繰り広げられる青春物語ですよね。その一方で近年、体罰?強制入部?長時間の活動?なんて暗いニュースもちらほら。部活で悩んでいるみんな。大会へ向けて必死なみんな。支える側の先生や大人たち。本書はそんな全ての人へ送る部活の参考書です。

 私が学生時代に入部したバスケ部では、まず1年生は全員坊主。朝練、土日練習も当たり前。本書を読んで、今の時代の部活の在り方に驚きました。❝働き方改革❞のごとく、「部活を変えるのは自分で」できるのだ!と気づかされました。「先生だって苦労している・・」ことも知らなかった。出来ることなら中学生の時に出逢いたかった一冊です。