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2025年7月号 推し特集

風花、推してまいる!

 

黒川裕子/作 タカハシノブユキ/絵

岩崎書店

 「無事・無難・無風」をモットーに日々過ごしている小学6年生のナリ。ある日、ひょんな事から連れていかれたのは大衆演劇「劇団風花(げきだんかざはな)」。そこは、日常とはまるで違う刺激的な世界だった。開演前の熱気、迫力の殺陣(たて)、そして赤い鬼面を被ってするどく舞う子役“むらさき”の姿に圧倒される。翌日、クラスにやってきた転校生「若宮紫寿(わかみやしのぶ)」は、なんと“むらさき”だった……!

 ナリとむらさきの出会いから別れの時まで、2人の素直な目線とまっすぐな感情が丁寧に描かれています。会話のテンポも軽やかで読みやすく、推しがいる方には「わかる!」がいっぱい、まだ出会っていない方には「こんな風に誰かを好きになってみたい」と思わせてくれる物語です。

推しことば類語辞典-巧みな単語で「好き」を拡散!

山口謠司/監修 じじぃ/マンガ・イラスト

笠倉出版社

 「好き」という言葉だけでは足りなくなった時、他にはどんな表現があるのだろうか?たとえば、エミリー・ブロンテの『嵐が丘』には「ほかのすべてがほろびても彼だけが残っていれば、あたしは存在し続けるし、ほかのすべてが残っていても彼が消えれば宇宙は大きな赤の他人になってしまう」(永川玲二訳)という一文がある。本書では、こうした名言や語彙を多数紹介。推し活がより楽しくなる一冊!

 みなさんには「推し」はいますか?推しがいなくても、日常の中で「好き」だけでは言葉が足りないような感情があふれ出る瞬間、ありませんか?そんな時、この本を開くと「鍾愛(しょうあい)」や「好尚(こうしょう)」など様々な言葉に出会い、よりいっそう自分の「好き」を解像度高く言語化できるのではないでしょうか。

アイドルが好き!

イノウエミホコ/作 くまぞう/イラスト

くもん出版

 中学2年生のタマキは韓国のアイドル“ノベンバー2”(通称ノベバ)の大ファン。一方、同じクラスの友だち・桜子は、何に対しても関心をもてないタイプ。桜子はアイドルに夢中になれるタマキを不思議に思っていたが、同時に「“好き”がつまった毎日を見てみたい」とも思っていた。ある日、ノベバの来日公演が決定し、タマキはSNSで知り合ったノベバファンのユマと、大興奮するが……。

 性格は全く違うタマキ、桜子、ユマの3人が、お互いを深く知るにつれ、自分の新しい一面を発見していくところが心に残りました。ひとつの「好き」が原動力になって、新しい人や文化と出会い、どんどん世界が広がっていくワクワク感を味わえる一冊です!