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このほんしってる2010年

アナザー修学旅行

有沢佳映 著

講談社

いろんな事情で修学旅行に参加できず、代替(だいたい)授業をして過ごすことになった六人。一つの教室に集められたが、もともとクラスが違うので別に親しいわけでもない。

先生も人数が少なくなっていて監視が薄(うす)く、授業はほぼ自習でやる気なんておきない。

個性の強い六人が、退屈しのぎに小さなかけ事を始めたことから、思いがけない展開に。

 

日常なのになんだか非日常。短いようで長い特別な三日間。

アギーの祈り

  

濱野京子 著 平澤朋子 絵

偕成社

三つの国、ハルーン、テルン、マケラの戦争は、二年前に終結した。その戦争で難民となった人々が暮らすスサ島に、それぞれの国出身の子ども達が、ともに学ぶ学堂がある。

ある日、学堂の教師アギーは、新しく来た少女ラキの持つ、特別な舞の才能に気づいた。次第に上達するその姿は、かつて舞によって兵士たちの戦意を高揚(こうよう)させたという、伝説の舞姫テル・ナキを思わせた。

戦争が残した傷跡の中で、懸命に生きる人々を描いた物語。

RDG‐レッド・データガール はじめてのお使い‐

荻原規子 著

KADOKAWA 角川書店

鈴原泉水子(いずみこ)は、極端に引っこみ思案な中学三年生。家は、山伏の修験場(しゅげんじょう)として世界遺産に認定されている玉倉神社で、通学も車の送り迎えしかない程、山奥だった。

高校生になったら山を出て、普通の女の子になろうと決めた泉水子は、少しずつ変わっていく第一歩として、初めて前髪を切った。

 

ところがその日、めまいがしたと思ったら学校中のパソコンが原因不明の故障を起こしていた。神社で修行した山伏の相楽(さがら)は、髪を切ったせいではないかと言うが。

園芸少年

  

魚住直子 著

講談社

おれが、初めて大和田一平と出会ったのは、高校入学直前、ふらりと自転車で学校まで行った帰り道。ガラが悪そうに見えたが、いいやつだ。

それからおれたちは、入学した高校の裏庭で再会した。何気なく植えてあった鉢に水をあげたことで、しおれた草が元気になったのを見て、感動した。そんな時、野球部とバスケ部から強引に勧誘され、断るために『園芸部』に入った。

ある日、温室に段ボールを被ったやつが現れた。

 

ハブテトル ハブテトラン

中島京子 著

ポプラ社

登校拒否になった大輔は、二学期だけ祖父母が住む松永の小学校に通うことになった。広島空港に到着した大輔を祖母の代わりに迎えに来たのは、ハセガワさん。へんくつなおじいさんだった。

ハセガワさんをはじめ、大輔は様々な人と出会い、穏やかな瀬戸内海の町で、毎日を過ごす。町中が大騒ぎのゲタリンピックに参加したり、同じクラスの女の子とプリントップを食べにいったり。そんな中で大輔は、今治(いまばり)に引越した元クラスメートのことを思い出した。

びんの悪魔

  

R・L・スティーブンソン 作 磯良一 画 よしだみどり 訳

福音館書店

持ち主の願いを何でも叶えてくれる不思議なびん、あなたならいくらで買いますか?

そんな夢のようなびんをたった50ドルで手に入れた男、ケアウエ。貧しい水夫だった彼は、びんの魔力でたちまち大金持ちに。

ところが、欲しいものは何でも手に入れたはずなのに、なぜか心から喜べない。それは、このびんの持ち主が背負う、恐ろしい運命のせいだった。

不思議なびんに振り回されながら、本当の幸せを追い求めた男の話。

優しい音

  

三輪裕子 作 せきねゆき 絵

小峰書店

中学三年生の千波(ちなみ)は、仲のよかった女子グループから仲間はずれにされてしまう。一人で辛い日々を過ごしていると、千波の落とした携帯電話をポストに届けてくれた『潮風(しおかぜ)』という人から、一通のメールが送られてくる。やがて、励ますようなメールを送ってくれる潮風の存在に、勇気づけられていく。

同じ学校の男子らしいということしか分からなくて。

きみが見つける物語‐ティーンエイジ・レボリューション-

あさの あつこ、魚住直子、角田光代、笹生陽子、森 絵都、椰月美智子/著

KADOKAWA 角川書店

五、六歳の頃から、結婚するなら一つ年下のユキオだと決めていた。小学校の時は、お互いの家によく遊びに行っていたが、中学になるとずいぶん事情が変わってしまった。声をかけても迷惑そうな顔をされ、男同士、女同士で遊ぶようになった。そんな私の気持ちを察してか、母が料理やお菓子を作っては、ユキオの家に届けるように頼んだ。しかし、母の思いは違っていた。

六人の作家が描く、十代の頃に出会う切ない物語。

動物の死は、かなしい?-元動物園飼育係が伝える命のはなし-

あべ弘士 著

河出書房新社

動物も人もいつか死ぬ。『死』を語るのは、とても難しい。それは現実として避けられない。

旭山動物園で飼育係の仕事を始めた頃、先輩がゾウにキバで突かれて死んでしまった。危険と隣り合わせの毎日の中で、

仲間たちと『命とはなにか』『なんのために動物園はあるのか』を話し合った。

絵本作家でもある著者の子ども時代、飼育係時代、その後に出会った生と死、そして生きる道しるべとなるお話。